フクラガエルが元気がないようにみえるけどどうしたらいいかな?
餌も食べないし、傷もあるみたい。どうしよう?
こんにちは。ふくら博士(自称)です。
そんなお悩みを解決します・・・と言いたいところですが。
調子がおちてきたら回復は難しいです・・・。
僕の経験と対処法をお伝えします
個人的見解
僕個人の結論から申し上げますと、人の目から見て明らかに両生類の調子が落ちている場合は、かなりの確率でそのままお亡くなりになります。
そのため、よい環境を作り最適な飼育をしてカエルのコンディションを保つことが9割・・・いえ9.9割です。
もしカエルが病気になって、どうしても治療したいなら動物病院に連れて行きましょう。
ただし、両生類の治療経験が豊富な獣医師に限ります。ほとんどの獣医の先生は哺乳類専門、よくて爬虫類までで、両生類をしっかり診られる人はすごく少ないです(僕は2人しか知らないです)。
おまけに、動物病院ではかなり治療費がかかります(フクラガエルのお値段よりもかかることもありえます)。
残念ながら、そんな動物病院が近くにない!という方や、そこまでお金はかけられない…という人は多いと思います。
しかも、治る保証はありません。
そこでこの記事では、私がアメフクラガエルの不調や(他のカエルもあわせて)病気にどうやって対応したかをお教えします。
なお私は獣医師ではありませんので、この記事の内容が最適かどうかはわかりません。あくまで参考、ということでお願いします。
フクラガエルの調子が悪い時
まず、アメフクラガエルはあまり明確な病気にはならないように見えます。
でも餌を食べないほど調子が悪くなったら、しばらくして亡くなることが多いです。
餌の食いが悪いとき、特に活発に動かなくなった時は要注意です。
調子が落ちたなと思ったら、まず温度・土の湿り気などをチェックして問題があれば最適な状態に戻します。
温度、土の湿度に問題がなかった場合には、以下のように対応してきました。
餌を食べないとき
餌を食べない時は、たまたまかもしれないので1週間放置しました。次の餌やりの時も調子が悪いなら、土を換えてみます。
アメフクラガエルの体調は土の湿度と土の状態に強く影響されるようなので、まず土を疑うわけです。
環境が悪くて調子を落としているなら、この土換えで調子が上向き餌を食べるようになります。
餌をたべない時は普段食べさせていない餌、ミールワームや、ハニーワーム(ぶどう虫)、ワラジムシ、レッドローチなどを試してみる手もあります。
運がよければ食べてくれます。このときに食べた餌を繰り返し与えて食欲がもどったら、少しずつコオロギを与えて、戻していけばいいです。
僕はミールワームで拒食を治せたことがあります。(他の餌は試していません。ごめんなさい)
2週間以上餌を食べないなら、病気を疑います。次の章を見てください。
元気がなく病気が疑われる場合
餌を食べない以前に、明らかに動きが悪かったり、皮膚がしおれてハリとツヤがなくなっていることがあります。
このような時は、すぐに病気を疑います。
そして該当の個体をすみやかに『新しい土を入れた別の容器に隔離』します。元の飼育ケースも土を捨て、ケースを熱湯で洗った後に新しい土を入れます。
この作業は、感染性の病気だったときに他の個体に感染しないようにするためです。
運が良ければ土換えで調子が戻ることがあります。
これで調子が戻らず、しかも眼に見える症状がなくて何の病気かわからないなら、できることはここまでです。
まれに皮膚から出っ張って腫瘍が見えることがあります。このときも手の施し用がありません。(獣医さんでも難しいでしょう)
なるべくストレスを与えず、最適な(といってもいつもと同じ)環境で飼ってあげて、調子が戻るのを祈るのみです。
なお、明確な症状がなくて調子が悪いときはカエルツボカビ症を疑ってその治療を試してみるという手があります。
ただこれは賭けに近いもので、単に寿命を縮めるだけになる可能性もあります。
外部に症状がでている病気の場合
次に明確な病気です。
僕が試したことのある両生類の病気への対応を書いておきます(アメフクラガエルに限りません)。
治癒率は低いです[データは取っていませんが、肌感ではよくて5頭中1頭が治癒する(> 20%)ぐらいです]。
赤足病
足・お腹・のどが赤くなっていないかチェックしましょう。もし赤くなっていたら赤足病(レッドレッグ症候群)という細菌性の病気の可能性があります。
この場合、テラマイシン(主成分は抗生物質の塩酸オキシテトラサイクリン) が手に入るなら、テラマイシン粉末0.1gを水100mlに溶かすした(0.1%)テラマイシン液に、毎日3~5分間カエルを浸します。
アメフクラがエルの場合は、薄く水を張った深さ(水入れの水のイメージ)で薬浴するといいでしょう。
また、テラマイシン溶液を充分にしみこませた厚さ1〜2cm程度のスポンジマットを飼育ケースの底全面に敷いて、症状が見られなくなるか、軽減するまで飼育します。
(スポンジマットは大きなシートを切って作ります(準備中)➡️【おすすめ飼育機材と飼育コスト】)
この場合、土入れません。このためアメフクラガエルにはかなりのストレスになります。少しでもストレス軽減のために、治療ケースは暗くて人の出入りがないところに置きましょう。
なお、テラマイシン軟膏は普通に買えますが粉末は市販されていません。獣医師さんか(皮膚科の)お医者さんに頼まないと手に入らないと思います。
軟膏を水に溶かして使うなら、軟膏3.3gを100mlの水に溶かせば上で書いた粉末のテラマイシンから作ったのと同じ濃度の溶液ができます(僕は軟膏からやったことがないので自己責任でお願いします)。
テラマイシンが手に入らない場合は、熱帯魚用の治療薬エルバージュ(主成分:ニフルスチレン酸ナトリウム)を使います。水10 L にエルバージュを1 gを溶かし、その溶液に4〜6時間薬浴します。
その後、飼育容器の底に前述のテラマイシンの時と同様に、エルバージュ液を充分にしみこませたスポ ンジマットを敷いて、症状が見られなくなるか軽減するまで飼育します。
カエルツボカビ症
次に、カエルツボカビ症です。
日本のカエルはツボカビに耐性を持っています。
しかし海外産のカエルにはツボカビに感受性が高い種類がたくさんいて、一部の地域でカエルの大量死を引き起こして国際的な問題になった病気です。
カエルツボビ症の病態はさまざまなので、症状だけでツボカビ感染の断定できません。具体的な症状は、「ツボカビ症に関する解説書(詳解) (2007) 麻布大学病理学教室」の5〜6ページをご覧ください。
しかし、ツボカビ症の治療法はある程度確立されているため『明らかに病気のようだけどなんの病気かわからない』という時にはツボカビの治療を試してみる余地はあります。
治療法ですが、水虫治療薬のイトリゾール内溶液 [1%](主成分は抗真菌剤のイトラコナゾール・錠剤は難溶性なので液体のもの)が手に入る場合は、原液を1/100に薄めた0.01%のイトリゾール溶液で、1日5分間・10日間の薬浴をします。
なお、イトリゾール内溶液の購入には医師の処方箋が必要です。
イトリゾールが手に入らない場合は、薬局などで売っているオスバン液(10%塩化ベンザルコニウム)を 1 mg/L *(1/100,000)に薄め、 1日1回 1 時間ごと、1日おきに2週間 (1,3,5,7, 9,11,13 日目)にカエルを浸すという方法もあります。
*オスバン液を1mlとって99mlの水で薄めた後、その薄めた液1mlを999mlの水に薄めた溶液
しかし、塩化ベンザルコニウムはカエルに対して毒性があることから、イトリゾールによる治療が一般的になっているようです。
アメフクラガエルの場合は、薬浴するたびに新しい土を入れたケースで治療を続けましょう。土にツボカビの胞子が残ったら意味がないので。
特筆すべき病気
僕の経験では、レッドレッグ症候群や明らかなツボカビ症はアメフクラガエルでは見られていません。
ただ、元気がなくなり骨が露出ほど後ろ脚が溶けていくという症状が同じケージの複数個体に発生したことがありました。
この病気になった多くの子たちは亡くなってしまいましたが、レッドレッグ症候群で説明したテラマイシンの薬浴が多少効果がありました。おそらく細菌性の感染症だったのでしょう。
もし、飼育中のアメフクラがエルにこのような症状がでたらテラマイシンの薬浴を試してみるといいかもしれません。
まとめ
同じことを繰り返して恐縮なのですが、両生類は一度調子をおとしてしまうとどうしても回復が難しいです。
不調の原因もわからないことが多く、病気だとわかっても確実な治療法はほとんどありません。
このため長期飼育を目指す上で一番大事なことは、常に良い環境でカエルにストレスを与えないようにすることです。
何事にも言えることですが、正しいやり方を継続することが、再現性を高める最大のコツです。